【前編】フォーラム 「茶・藝・道 −売茶翁と現代ストリート文化−」

最近はだいぶん涼しくなってまいりましたが、、、

先月8/18、まだまだ夏の暑い日にフォーラム「茶・藝・道 −売茶翁と現代ストリート文化−」が開催されました。

 

フォーラムで講師を務めてくださったのは4名と1組のアーティスト

・錦織 亮介氏(福岡市美術館館長)
・狩野 博幸氏(美術史家)
・木村 勝彦氏(長崎国際大学副学長)
・毛利 嘉孝氏(東京藝術大学教授)
・オレクトロニカ (美術ユニット/ 加藤 亮氏+児玉 順平氏)

前半は各講師より講演いただき、後半はパネルディスカッションをおこないました。

フォーラムの内容に合わせて、レポートも【前編】【後編】とわけてお送りします。

 

はじめに佐賀大学芸術地域デザイン学部 准教授 花田伸一先生 よりごあいさつ。

SMAARTやフォーラムの説明をしていただきました。

佐賀のアートシーンを盛り上げていきたいという思いあり、
アートシーンを盛り上げていくためには、作る人(表現者)だけではなく、語る人・見る人が増えていくことにより、相乗効果でアートシーンが底上げされていくと考えています。

また、必要なものは、場所・メディアであり、展示を見た後に語り合う場など、飲食を共にしながら同じ時間と空間を共有すること。そういう場が増えるといいなと思い、飲食の場と表現に触れる場が合わさった「アートカフェ」をSMAARTでは行いたいと考えています。

その中で、佐賀独自のアートカフェを立ち上げていきたいと考えた時、佐賀の歴史・ゆかりの人物を調べていくと、売茶翁を発見!しました。
生き方、思想などアートプロジェクトのヒントにできないか、様々な視点で売茶翁について検証していけないか、ということで今回のフォーラムを開催しました。

 

 

  

錦織亮介氏 「黄檗宗と美術」

隠元隆琦禅師が日本にもたらした黄檗文化の歴史や、多くの建築・仏像・肖像画などの画像を用いて、黄檗美術の特徴などを説明していただきました。

売茶翁はもともと黄檗宗の僧。黄檗文化が日本文化に与えた影響を知ることで、参加者の方に売茶翁に対する一つの視点ができたのではないでしょうか。

 

  

狩野博幸氏「美術史における売茶翁の足跡」

売茶翁を尊敬していた伊藤若冲について。

伊藤若冲といえば、30幅からなる「動植綵絵」が有名です。その制作途中にも売茶翁との交流があったそうで、若冲は売茶翁から褒められた書を大切にとっていたそうです。ちなみにその書には「丹青活手妙通神」と書かれており、現代語訳すると「君の絵は神ってる」。

「NO 売茶翁 NO 若冲」という言葉が講演の中で出て来ましたが、
それほどまでに若冲にとって売茶翁はなくてはならない存在でした。

商人があまりいい立場ではない時代、売茶翁の「知識人や侍がどれだけ偉いものか!」という心意気。らしく生きていくこと。そんな売茶翁の生き方・思想は、天才画家に勇気を与えました。

 

  

木村勝彦氏「禅の教えと茶の哲学」

売茶翁より50歳ほど先輩である松浦鎮信、「鎮信流茶道」というものを通して
町人の茶とは違う武家の茶、そこで禅はどのように考えられていたのか。
売茶翁とほぼ同時代ですが、別の視点から茶に挑んだ人の話をしていただきました。

松浦鎮信は「茶の湯」は楽しみであり礼儀であるため、お茶を売るなどとはありえないという考えです。

同じように禅と茶に関わりながらも、全く違うタイプの生き方をしたふたりを見つめてみることで、売茶翁を見ていくための違った視点が生まれたのではないでしょうか。

 

 

  

毛利嘉孝氏「ストリートの表現者たち」

ここからはガラリと変わって、現代へ。

毛利氏の「さっきまで美味しい懐石料理を食べていたのに、急にハンバーガー屋さんにきたという感じですね。」の一言に、参加者の皆さんから笑いが。

 

まず、ストリートの思想にはいくつかの定義があると説明。
・線の思想、点と点を結ぶような思想(ある閉じられた空間のみで考えるのではなく、移動時に考えていることはなんなのか)

・実践型の思想、いろいろやりながらボトムアップ型で考えていく

・「複数の思想」様々な人の思想が組み合わさったもの

・言語でない形で表される思想(絵を描く、写真を撮る、踊るなど、「非言語的な表現実践」、テキストという形ではない。)

 

そして、自身が携わっている路上演劇「水族館劇場」を中心にストリートの文化についてお話をしてくださいました。
「水族館劇場」とは、大掛かりな舞台装置、動物の出演など、特徴的な演出で野外劇を行う劇団。

誰のための演劇なのか、芸術なのか、何のためにこれをやっているのか、そこを基本に考えプロジェクトを行なっていて、その考えが、現代のストリート文化を考えることになるのではないか。

昔は路上で様々なことが行われていたが、今は移動の空間に特化していると話されていました。

路上のコミニュケーションという点が売茶翁とアートプロジェクトを考えるひとつのヒントになるかもしれません。

 

 

      

オレクトロニカ (加藤亮氏+児玉順平氏)「日常にアートを探る」

「制作と生活」をテーマに活動を展開している美術ユニット。

大学卒業後から今に至るまでをお話しいただきました。
制作や運営しているアートスペース「傾く家」、
アートプロジェクト「TAKETA ART CULTURE」などなど。
生活のために作ったものを路上で売る、路地裏ワークショップ(2011)などをおこなっていたそうです。

 

オレクトロニカ は、SMAARTプログラムのひとつ「SMAART AIR ウォーム・アップ」の招聘アーティストでもあります。(AIR =アーティスト・イン・レジデンス)

佐賀で売茶翁にちなんだアートプロジェクトを行う予定で、そのプロジェクトの話もしてくださいました。

「お茶というものが媒体になり、いろんなものの分野を外してまたいで行く。そんな状況を佐賀で作り出せたらいいなと思っている。」

12月にプロジェクト本番を迎えますが、どのようなプロジェクトになるのか楽しみです。SMAARTのWebサイトやSNSでも情報発信していきますので、ぜひチェックしてみてください。

 

【これにて前編終了です。後編(パネルディスカッション)に続く!】